インド人に騙され3680mヒマラヤ登山
- Ayase Tsuzuki

- 1 日前
- 読了時間: 11分
🕉️インドからナマステ!
愛媛県松山市のヨガ&アーユルヴェーダ ルクルク彩瀬です。 インド滞在もあと5日ほど。
日本は急に冬が来たと聞いていますが、皆さんお元気にお過ごしでしょうか?
ここリシケシは朝晩こそ冷えますが、昼間はまだまだ半袖。湿度も低く、さらりとした空気が心地よくて、過ごしやすい気候です。
🌼リトリートを終えて、次の旅へ
一緒にリトリートに参加されていた3名の生徒さん+個人で参加された1名が、皆さん無事に帰国されました。今回も体調不良もなく、それぞれにインドを楽しんでくれて本当にホッとしています。
後半に、個人リトリートに参加する友と一緒にヒマラヤ登山に行ってきました。
今日はその旅の記録を、少しゆっくり綴ってみようと思います。
🏔️世界一高いシヴァ神のお寺へ
今回訪れたのは、ヒマラヤ山脈にあるChandrashila and Tungnath Himalayan Trekking(チャンドラシラ・トゥンガナート)。
世界で最も標高の高いシヴァ神のお寺です。ヒンドゥー神話では、ラーマ神がラバナとの戦いの後にここで瞑想をしたといわれています。360度ヒマラヤ山脈を一望できる、神聖で特別な場所です。
😅インド人に騙されてヒマラヤ山頂へ
サンジャイから「山の上に素晴らしいお寺があるよ」と前から聞いていました。でもリシケシから車で8時間……なかなか実現できずにいたんです。
そんな中、個人リトリートに参加してくれたKさんの趣味は登山!「ぜひヒマラヤに行ってみたい!」という言葉に背中を押され、「じゃあせっかくだし、みんなで行ってみよう〜!」と計画が決まりました。
👟登山なんてするつもりなかった私
「その山ってどんなところ? 私でも登れる?」そう聞く私に、サンジャイは軽い調子で言いました。
「あ〜、イージーイージー! 標高は3000mくらい。ゆっくり行けば大丈夫〜!」
……インド人の“Easy”ほど信用してはいけないものはありません(笑)
サンジャイの実家は標高1000m。山育ちの彼の言葉を聞き流しながらも、「まぁ大丈夫かな」と軽く受け取ってしまっていました。
登山なんてするつもり、まったくなかったんです。というか、登山がどんなものかすらわかっていなかった気がします。
登山経験は、小学生の自然合宿での1回きり。その記憶ももう曖昧です。
そんな私が、いきなり標高3,680m。まさかの挑戦でした。
🧦登山グッズなんて何も持ってない
出国前、慌ててヒマラヤ準備を始めました。
あるのは極暖ヒートテック、ユニクロのライトダウン、ワークマンの防風ジャケット。 ネットで裏起毛のパンツを注文して、なんとか形に。
もちろん登山靴なんて持ってません。
私は「VIVOBAREFOOT Primus」で行くことに。
“裸足のような感覚”を大切にした靴で、ソールが薄く足裏の感覚を感じられるシューズです。
Kさん(彼もVIVO愛用者)に「それで行くの!?すごい!」と言われました。
Kさんだけが登山靴。サンジャイと弟アルクは普通のスニーカー。
アルク(21歳)に至っては、長袖2枚と厚手のトレーナー1枚、デニム。レインコートもダウンもなし。
インド人、強すぎる。
🌫️霧の中のドライブ
朝4時、リシケシを出発。車酔いしやすくなった私は、酔い止めを飲んで静かに乗り込みました。
山へ向かう途中、霧がどんどん濃くなり、何も見えない世界に。ガンジス川の雪解け水が霧を生み、視界はゼロ。すぐ横は崖。ハザードをつけて、ライトだけを頼りにゆっくり進みます。
チャイ休憩を挟みながら、眠っては起き、また眠ってを繰り返し山の方へ。
🌫️ネットの情報はいつも人を不安にさせる
出発の前日。どの時間帯に登るか、みんなで相談していました。
早朝に出て車で8時間、お昼についてそのまま登山。下山後に一泊して、翌日に帰宅するプラン。
または、他の場所を見ながら夕方ホテルに到着し一泊して、翌朝、朝日を見るために早朝出発で登るプラン。
100円均一で買った二つのライトをテーブルに並べて、「真っ暗な中を歩くのは不安だし、昼間に登るほうがいいかもね」そんなふうに話がまとまりかけていました。
でも、なんとなく気になって、私はスマホを手に取り、ネットで検索してみたのです。
「高山病 何メートルから」
そして出てきた答えが、これでした。
AIによる概要高山病は、一般的に標高2,000m〜2,500m以上で発症する可能性がありますが、個人差が大きく、1,200m程度から症状が出る人もいます。特に高齢者は1,500mから注意が必要です。3,000m以上の場所では、ほとんどの人に何らかの症状が現れる可能性があります。
……え、やばいじゃん!!!😨
急に不安が押し寄せてきました。平地からいきなり3,000mに行くなんて、ちょっと怖い。
(しかも実際には、目的地は3,680mだったし…!)
「やっぱり翌日に登ったほうがいいかも」と提案し、みんなで話し合って、結局そのプランに変更することにしました。
🥾インド人に騙され、まさかの初日2800m登山
サンジャイが突然言いました。 せっかくだから「別の山の上のお寺にも行こう!」
……はい、インド人お得意。急な予定変更です。
すでに標高2400m。不安とワクワクが入り混じります。
車を降りて、軽い気持ちでお寺まで歩くつもりだったのに、気づけば息が上がり、延々と坂を登り続ける羽目に。
「え、あそこに行くの?」「いや、そんなはずないでしょ」
そう言いながら見上げた先の“山頂”。結局そこが目的地でした(笑)
途中でドライバーさんにもらったお水とチョコクッキーに助けられながら、ようやく山頂へ。
気づけば13,416歩、約10km。標高2800mの登山をしていました。
……準備運動の域、完全に超えてます(笑)
ちなみに2800mでも空気が薄い感じはせず、高山病の心配はその時は無用でした。


❄️凍える夜のホテル
絶景を堪能し、また数時間ドライブしてトゥンガナートの麓へ。標高2800mのホテルに到着。
寒い!エアコンなし!気温3度!部屋の中でもダウンを着て震えていました。
夕食後、焚き火を囲んで温まり、「山で食べる麺は絶対おいしい!」と思い日本のカップ麺を。
持ってきてくれたKさんに感謝です🍜
(普段は食事に気をつけますが、楽しむときは全力で!)
お湯はバケツに入れてくれるスタイル。
念の為と思って持って来ていたヘアドライヤーの出番? ありませんでした(笑)

🌧️またも予定変更、夜中にインド人に起こされる
夜空は厚い雲に覆われ、天気予報も微妙。「朝日は見れなさそうだし、ゆっくり6時に出よう」と就寝。
……が。
朝3時。サンジャイがテンション高く登場!「雲が晴れた!出発するぞ!」と。
眠い目をこすりながら、真っ暗な中で荷物をまとめます。
ホテルの駐車場までの急な階段を
一気に駆け上がりました。
おそらくこれのダメージが大きかったと後になって思います。
急な階段を4階までノンストップで上がったような感じがします。
車に乗り込んだ瞬間から心臓バクバク。
50m全力疾走したような、疲労感でした。登山前なのに。
🌄いよいよ登山スタート
登山口へ向かう頃には少し落ち着き、登山開始。真っ暗な中、ライトで足元を照らしながら歩きます。
サンジャイとアルクは山育ち。軽やかに進んでいく。一方の私は、すぐに息が上がり、足が重い。
ヨガをする筋力体力はつきましたが、ヨガをする前は不調だらけの体。
特に、無酸素運動?坂道を上り呼吸が上がるような運動には慣れていないのです。
趣味が登山のKさんが、私のペースに合わせてくれました。
おしゃべり上手なヴァータ体質の彼と話していると、不思議と辛さも少し和らぎました。
🧘♀️ヨガの呼吸で、一歩ずつ
しかし歩いても歩いても、まだまだ半分の地点にも届きません。
続々とくるインド人グループに先に行ってもらいながら
自分のペースでゆっくり歩みを進めます。
途中、山小屋で買っていたチョコレートやクッキーを食べてエネルギー補給。
ただ歩いているだけですが坂道なのでかなりエネルギーを消耗しています。
ファスティング参加者の皆さんはご存じたと思いますが、血糖値の安定が大切。
休憩しながらゆっくりと歩みを進めます。
最初は歩いて暑くなっていた体も標高が上がるに連れて寒くなって来ました。
そしてようやく半分の地点に来たかな?というとき、
雨·雪がパラパラして来ました。
ただでさえ辛いのに、雨に降られさらなる苦行!
(ヨガを練習しているとは言え私は別に苦行が好きな修行僧ではないのです。本音は楽して生きたい・・・!)
今にも死にそうな顔

すると途中に小さな小屋とベンチがあり、中でインド人グループが雨宿りをしていました。
私たちも仲間に入れてもらい少し休憩。
少し休めて充電できた頃、雨も落ち着いて再出発。
さらに歩きを進めると、ようやく山小屋が見えて来ました!
サンジャイたちがチャイだ!チャイだ!と嬉しそうに
はしゃいでいて、ゴールのお寺はすぐそこ。
やっと休憩所に辿りつきました。なんと標高3450m
私はやっとゴール目前まで登ってこれたことで泣きそうでした。
そしてようやくベンチに座れ、もう放心状態。。。
暖かいチャイとヌードルに癒され、少しだけ元気を取り戻します。

🌤️そして、ついにヒマラヤの頂へ
この時時刻は6:30(日の出の時刻です)
しかし朝日を見るスポットまでは
あと1時間歩く。とのこと。
空には重たい雲がかかっていたので、朝日は見られないだろうということで、朝日は諦めようということになりました。
(よかった・・・私はもう登れない)
休憩後もう少しあがりお寺やお土産物やさん、チャイ屋さんが並んでいるところへ。
ここがトゥンガナートという場所です。
だんだん空も明るくなってきて、ヒマラヤが見え、みんなのテンションも上がってきます。
焚き火に当たったり、またチャイを飲んだり。写真大好きインド人と写真を撮りまくりました。

サンジャイはそこから1時間登る朝日スポット、チャンドラシラから戻ってくるインド人に声をかけ、景色はどうかと天候リサーチ。
やはり雲が多くて朝日は見れなかったと聞いて、行かなくてもいいかな~という感じ。 ……と思っていたら、弟アルクが「僕は行く!」と元気いっぱい。
その勢いに押され、私たちも一緒に登ることにしました。
ヌードルでエネルギーチャージをして、すっかり高山病の不安も忘れ、呼吸を整えて一歩ずつ。
やっとの思いで辿り着いた山頂には、小さなお寺と広がる大空。重たい雲が流れ、ヒマラヤ山脈が目の前に広がっていました。
その瞬間、言葉にならないほどの感動が胸を満たしました。この私が、ヒマラヤにいるなんて——。
ヒマラヤ山脈という雪山を同じ目線で見ている不思議な光景。
この私がヒマラヤにいるなんて、
3680mの登山に成功したなんて、
なんだか信じられませんでした。
でも、次第に、
私は登頂したんだ!
ヒマラヤにいる!
私は3680mの山に登ったんだ!
特に覚悟を持たずにチャレンジした登山でしたが、
なんだか自分の中ですごいことを成し遂げたようで
とても嬉しく、パワーが湧いて来ました。

🙏山頂で感じた「与える」こと
山頂のお寺でお祈りをしていると、自然と涙が溢れました。
ヨガでは「与える」ことを学びます。普段の生活では、つい“してもらって当然”になりがちだけど、本当に大切なのは、心から与えること。
私はこのお寺でも、自分の思う分だけドネーションをしました。 すると聖職者の方が何かを話し、サンジャイが「お腹が空いているらしい」と言いました。
私たちは持っていたチョコバーとナッツを差し出しました。 何もない山頂で、彼にとって本当に必要だったのは“食べ物”だったのです。 左手の小さな白い建物がお寺です。

🚁ドローンチームとの出会い
山頂ではドローン撮影をしているグループがいて、アルクがすぐに仲良くなり、一緒に撮影に参加させてもらいました。 インド人は写真が大好き。
外国人とも写真を撮りたいのが彼らの特徴で、
観光地に行くと、芸能人かのようにいつも撮影を頼まれます。
後日、彼らが撮影データを送ってくれて、あの瞬間のヒマラヤの風、光、そして私たちの笑顔がそのまま残っていました。
弟アルクがビデオ編集して素敵な動画に
🌀地獄の下山
お祈りを終え、いざ下山。
登る時には見えなかった景色を眺めながら降りていきます。けれど最後の1時間あたりで、体は完全に限界。
膝は笑い、足はガクガク。腰もパンパン。ホテルで拾っていた木の杖を頼りに、おばあちゃんのように下山しました。不思議と後ろ向きで降りるのが楽でした。
その後もまた8時間のドライブ。やっとリシケシに帰り、温かいシャワーを浴びてごはんを食べ、気づいたら眠りに落ちていました。
ホテルで拾った、曲がった杖が頼りでした
🌞翌朝の奇跡
「明日は筋肉痛だろうな」と覚悟していたのに、朝起きてみると、体が軽い。
疲れを感じていない自分の体をみてヨガのパワーの凄さを改めて感じました。
午後はアーユルヴェーダのマッサージとスチームサウナを受けてリラックス。
こうして1泊2日のヒマラヤ旅は、無事に幕を閉じました。
🌿最後に
ヒマラヤの山頂で見た景色は、ただ「すごい」や「綺麗」という言葉では表せないものでした。
そこにあったのは、自然の壮大さと、その中に小さく立つ“私”という存在。
ヨガも人生も、きっと同じですね。一歩ずつ、自分の足で、今ここを感じながら登っていく。 道の途中はいつまでも進んでいる気がしないけど、
気づいたとき、今まで見えなかった景色が見える。
そんなことを感じたヒマラヤ登山でした。

サンジャイ・Kさん・私・アルク(弟)・ドローン撮影の方
おまけ 標高3680mにもお犬様
インドは人も犬も強いね。








































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